床の間続きで、今日は長押の話を。
長押とは、床の間のある和室において、
建具の上あたりの高さで四方にぐるりと取り付けてある横の板のことです。
長押は単なる飾り?
もともとの長押は、単なる飾りではなく、
構造材の一部でした。
つまり、柱だけでは支えきれない荷重を受けていたわけです。
実際、和室というのは、建具=開口部がとても多いのが普通。
そして、開口部が多いということは、壁が少ないということと同じです。
そんなオープンな空間をどうにか支えるには、
柱が転ばないこと(傾かないこと)がとても大切です。
そこで使われたのが長押です。
ですから、本来、長押というのは、
柱側も長押側も、ちゃんと欠きこみをした上で、はめ込んであったのです。
が、長い間に、工法自体も変化していったため、
床の間のある部屋の装飾という意味合いが強くなっていきました。
長押は取り外せる?
たとえば、和室を洋間にリフォームしたい場合、
長押はいかにも、邪魔に見えます。
でも、この長押が取り外せるか?どうか?は、
建築当初、どんなふうに長押を取り付けたか?にかかってきます。
実際、長押側の欠きこみはないにしても、
柱側は欠きこんであるケースが多いので、
長押を取り外した場合には、柱の穴埋めは必須でしょう。
ただ、最近は、
和室っぽい部屋を作るための長押風のものも存在していますから、
一概には言えないところです。
単に「長押」とだけ検索してみると
洋間に取り付けてある見切り材っぽいものも、長押と呼んでいるようですし、
もはや、今は、なんでもアリの時代です。
長押の使い方
正直なところ、
長押というのは、上に隙間があって、掃除がしにくいので、
あまり、今の人には好まれないのかもしれません。
しかも、長押自体、取り外しも簡単じゃない!
ということになれば、
せめて、何かに使いたい!
となるのは、当然でしょうね。
そりゃ、確かに、長押にはハンガーがひっかけられます。
もちろん、私自身も、
長押にハンガーをひっかけたこと、何度もあります。
でも。
最近、強く思うんです。
長押を何かに使う、という発想は、実に「野暮」だと。
まとめ
和室も床の間も減ってきている今、
長押も同様に、消えていく運命なのかもしれません。
でも。
最近、おうち時間が増え、
家の中を見回しているうちに、
長押の良さや美しさを、今さらながらに、感じるようになりました。
結局、
住まいは、自分の生き方や価値観を反映するのでしょうね。
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