私の父が昔、昔、建てた小さな家には、和室が2間ありました。
当然、床の間もありました。
でも、いつの頃からか?
床の間には、少しずつ物が置かれるようになり、
とうとう、私がこの仕事を始めた頃に、
- 床の間は取っ払って、クローゼットにし、
- 和室も洋間に変えてしまいました。
床の間がたどる運命?
とにかく、床の間はあっても、結局、物置き場になる。
これは、多くのお宅で共通している事実です。
そのため、私自身も、
- 床の間を撤去し、
- 収納スペースに変える
という仕事を過去たくさん請け負ってきました。
実際のところ、
床の間には、すでに物が山盛り置かれているのですから、
それを収納スペースにして、片付けやすくしたい!
と思うのは、自然の流れです。
たとえば、こちらのお宅もこんな感じでした。
それを、ご要望に合わせ、こうリフォームしました。
確かに見た目はスッキリしましたし、
収納量も増え、使いやすくなりました。
床の間は、本当にいらない?
ところが、最近になって、
年を重ねていくとライフスタイルや気持ちに変化が現れる!
ってことを、私自身、実感し始めています。
その一つの例として、こちらのお宅をご覧ください。
リフォーム前の和室ですが、
「床の間なんて、いらない!」
そんな声が聞こえてきそうです。
ところが、約20年後、
和室は、こんな風に変わりました。
床柱が半分残してあるのは、
「床の間」を完璧にゼロにはしたくない!
というお施主さまのたってのご希望です。
あぁ、人の気持ちって、変わるもんなんだな・・・と
学んだ瞬間でした。
床の間はなくても困らない
ちなみに、私自身の家はどうなのか?というと、
リノベーションする時、急だった階段をどうしても変えたくて、
その結果、床の間をつぶし、そこに階段をはめ込みました。
一応、床の間をつぶした理由は、物があふれたせいではないけれど、
結果的に、床の間がなくなってしまったことに変わりはありません。
だからこそ。
床の間はいらない!
と言う方の気持ちはよくわかります。
なぜって、
床の間がなくても、生活そのものに、何の支障もありませんから。
床の間のメリットって何?
ですが、支障がない!のは、「家の機能としてみた時には!」
という条件付きなのです。
最近、年を重ねて思うのは、
床の間は、とてもアートな空間だということです。
このアートな空間が、常に日常生活の中にある。
その豊かさ、文化性には、やはり憧れます。
特に昨今は、誰もが、
なんとなく先の見えない、落ち着かない日々を過ごしています。
だからこそ、
心静かに落ち着く空間や日常的にアートを楽しむゆとりとしての床の間は、
まさに、これからの時代に即した空間になるかもしれない。
そんなふうに感じます。
まとめ
床の間はいらない。
私自身、若い頃はそう思っていました。
でも。
時代は変わっていきます。
自分自身も年を重ねていきます。
そうした時、
以外にも、日本人としてのDNAが頭をもたげてくるような気がします。
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